就労移行支援は「就労が困難な障害を持った方」向けの福祉サービスなので、原則在職中の人は利用できません。
しかし、事例として「休職中に利用できたケース」は多くあり、「働きながら利用できるケース」も決して無いわけではありません。
今回の記事では「休職しながら就労移行支援を利用できたケース」についてご紹介します。
就労移行支援とは、障害や難病がある人に対して、働くための準備や就職活動をサポートする指定障害福祉サービスです。
在職中の方は原則対象外ですが、条件を満たせば休職中でも利用できる場合があります。
休職中に利用できる場合、就労移行支援を利用する目的として、就労移行支援に通うことで、生活リズムの安定が期待できる・自己理解を深めるプログラムなどでストレスの対処法を身につけて復職後の安定した就労を目指すこと、などが挙げられます。
休職中に利用するための3つの条件
1.企業や地域の支援機関等の復職支援が困難または不可
2.本人が復職を希望し、主治医が支援が望ましいと判断した人
3.就労移行支援によって効果的に復職につながると市町村が判断した人
本人が復職を希望していることを前提として、「勤めている企業」「主治医」「市町村」いずれの許可もある場合、就労移行支援を利用することができます。
企業内で復職(職場リワーク)支援制度がある場合は、就労移行支援の利用が必要ない、とみなされるケースが多いです。
休職中に就労移行支援プログラムを受けるメリット
生活リズムの改善
休職中に生活リズムが崩れて昼夜逆転の生活になる人は少なくありません。
就労移行支援事業所へ通うことで、決まった時間に起床する習慣が身につき、生活リズムが整いやすくなります。
自己理解を深める
さまざまな要因で心の葛藤やストレスを抱えて休職に至った方が多いかと思います。
就労移行支援のプログラムとして、自身の障害や性質・特性について学ぶ自己理解プログラムが設けられていることが多いです。
一人ひとり、心の葛藤が生じやすい場面やストレスを感じやすい状況は違います。
ご自身の特性や心理的側面へ改めて向き合う機会・深い理解を得ることは、復職後の安定した就労に繋がり、ストレスを軽減する対処法を身につけることは再発の予防となります。
職場復帰への準備が出来る
職場復帰を想定したプログラムを受けることで、復職に必要な体力や集中力を身につけることが期待できます。
復職の際には、本人の回復具合や企業の事情によって、休職前と違う仕事から始める可能性もあります。
仕事にミスマッチがないよう、就労移行支援は復職前に企業側と復職時の環境や仕事内容を確認し、それに合わせた準備をサポートしてくれます。
就労移行支援以外の復職支援プログラム
就労移行支援以外にもリワーク(復職支援)プログラムはあります。
一般的には、これらのプログラムが受けられない場合にのみ、就労移行支援を利用できます。
職場リワーク
雇用されている企業内で実施される復職支援プログラムです。
企業内で行われるので最も実践的なプログラムです。
リワークプログラムにかかる費用は企業が負担します。
大企業で行われているケースはよく耳にしますが、中小企業での実施は少ないのが現状です。
職場リワークの目的は、本人の支援だけではなく、働けるかどうかの見極めも含まれています。
医療リワーク
医療機関で行われる復職支援プログラムです。主に精神科のデイケアで実施されています。
費用は自己負担となりますが、医療保険が使えるので原則3割負担です。
自立支援医療制度が利用できる場合は1割負担になりますので、医療機関や各市区町村に確認することをおすすめします。
医療リワークは、症状の治療や心理的な支援、休職の再発予防が主な目的になります。
職リハリワーク
地域障害者職業センターで行われる復職支援プログラムです。
労働保険が適用されるため、無料で利用できます。
労働保険に加入していない公務員は利用できないので注意が必要です。
各都道府県に1ヶ所程度しかないので、通いにくい人もいるでしょう。
職リハリワークでは、治療や訓練よりも、スムーズに復職できるような環境整備やコーディネートが主な目的になります。
ここからは、休職中に就労移行支援を利用する方法についてご紹介していきたいと思います。
休職中に就労移行支援を利用する方法・手続き
1.雇用されている企業に相談する
休職中に復職支援を受けたい場合は、まず雇用先の企業に相談しましょう。企業内に職場リワークプログラムがある場合はそちらが優先されます。職場リワークを実施していない場合は、地域にあるリワークプログラムを探します。
2.地域にあるリワークプログラムを探す
雇用されている企業で職場リワークが実施されていない場合、地域にあるリワークプログラムを探します。
具体的には先述の通り、職リハリワーク・医療リワーク・就労移行支援によるリワークプログラムがあります。
職リハリワークは各都道府県に1ヶ所程度しかないため、通うことが困難な場合があります。
また、公務員は利用できません。
医療リワークは比較的たくさんありますが、リワークの対象者がうつ病のみなど、医療機関によって対象者が異なります。
自身が対象になるかどうかは確認が必要です。
就労移行支援は全国に多数あります。
多くの就労移行支援でリワークの対応をしているので、インターネットなどでお近くの就労移行支援を探してみましょう。
3.就労移行支援の見学・体験をする
気になる就労移行支援事業所が見つかったら、見学と体験利用に行ってみることをおすすめします。
多くの就労移行支援事業所でリワークの対応をしていますが、主な利用者層は離職中で再就職を目指している方々です。
そのため、就職活動に関連するプログラムが多い事業所もありますので、復職支援の場合はどのようなサポートが受けられるか、十分に確認することをおすすめします。
4.企業と主治医に報告し、書類の作成を依頼する
復職のために就労移行支援を利用する場合は、原則、企業と主治医の許可が必要になります。両者に就労移行支援で受けられる支援などについて報告し、見解を聞いてみてください。
5.受給者証を申請する
就労移行支援に通うために必要な受給者証を市区町村に申請します。
受給者証の申請については別記事があります、ご参考になれば幸いです。
復職の場合のみ、企業・主治医が就労移行支援の利用が適切だと判断している書類が必要な為、企業と主治医の双方に書類の作成をお願いする必要があります。
申請についてわからないことがあれば、就労移行支援事業所のスタッフがサポートしてくれる場合もありますので、不安なことは遠慮なく聞いてみましょう。
6.就労移行支援事業所と契約・通所開始
受給者証が発行されたら、就労移行支援と契約をして正式な通所開始となります。
働きながらの就労移行支援の利用の条件について
働きながら、または在職中に就労移行支援を利用することは原則できません。休職中を除けば、利用できる条件はごく一部です。
働きながら就労移行支援を利用できるケースは2つあり、それぞれの条件についてご紹介します。
利用条件
労働時間延長支援型
①就労移行支援または就労継続支援(A型・B型)を利用して一般企業に就職した 。
②就職時は週に10時間以上20時間未満の短時間労働だが、続けて就労移行支援または、
③就労継続支援の支援を受けることで、労働時間が週に20時間以上になる見込みがある 。
就労移行支援短時間型
①就労移行支援を利用して一般企業に就職した 。
②就職時は週に10時間未満の短時間労働だが、続けて就労移行支援を利用することで、労働時間の延長やスキルアップのための転職が見込める 。
上記の計画を市区町村も認めています 。
まとめ
いかがでしたか?
今回は休職中に就労移行支援を利用するための条件や、働きながら就労移行支援に通うことができる人の条件、休職中に就労移行支援を利用するための流れについてご紹介してきました。
就労移行支援事業所の中には、復職のためのサポートやプログラムが充実している事業所等、事業所によって特色は様々です。
どんな仕事がしたいのか、どんなスキルを習得したいのか、どんな雰囲気の事業所に通いたいか。
就労移行支援事業所は数多くありますので、少し手間がかかってでも、見学・体験を通し、ご自身が通える・通いたいと思う事業所を選んでいただくことが、復職後の安定した就労に繋がると言えます。
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